diabetesian’s blog

糖尿病専門医、草加市、内科

動脈硬化検査について(頸動脈エコー)

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糖尿病、高血圧、脂質異常、尿酸などの生活習慣病は自覚症状には乏しいですが、サイレントキラーとも呼ばれ、放置しておくと動脈硬化が進行し心筋梗塞脳梗塞など重大な血管病を引き起こします。

動脈硬化を客観的に検査する検査としては頸動脈エコー、CAVI、ABIがあり、当院ではリスクのある方に積極的に行っております。(ちなみに、上記のような動脈硬化のリスクがある方が保険適応になりますのでご注意ください。)

 

頸動脈エコー

▶︎頸動脈エコーでわかること

 

頸動脈エコーは、動脈硬化の程度を視覚的に判断出来る検査です。

超音波検査ですので、痛みも被曝もなく10〜15分程度で終了する簡便な検査です。

頸動脈は全身の血管のなかでも最も動脈硬化が起こりやすい血管であり、頸動脈の動脈硬化が進んでいるほど、他の部位の動脈硬化が進んでいると考えられます。

 

 

▶︎頸動脈エコーを受ける事が推奨される方

 

・脳血管疾患が疑われる方や動脈硬化性疾患(狭心症心筋梗塞脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の方)の方

・糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血漿、喫煙、メタボリックシンドロームなどの動脈硬化リスクが高い方

 

▶︎頸動脈エコーで調べる観察項目

 

血管の厚さ⇒IMT(Intia Media Thickness)

血管は輪切りにすると3層構造をしていますが、内側2層の内膜中膜を合わせた部分をIMCといいその厚さのことをIMT(Intia Media Thickness)といい、動脈硬化の指標となります。IMTは通常1mm未満ですが、それを超えると動脈硬化が示唆されます。加齢によっても動脈硬化は進行しますので、以下のように年齢によっても基準値が変わります。

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血管の狭窄度合い

頸動脈の血管の内腔を測定し、動脈硬化により血管の狭窄やつまりがないかを調べます。狭窄の程度がひどくなると血流が速くなりますので(ホースを細めると水流が速くなるのと同じです)、血流速度も測定します。血管が非常に細く狭くなっていれば脳梗塞のリスクもありますので緊急性が出てきます。緊急性の程度によって治療の強化(LDLコレステロール値の管理をより厳しくする、抗血小板剤[血をさらさらにする薬]内服開始、場合によっては外科的処置の適応で脳神経外科への紹介)を考える必要があります。

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プラークの観察

血管の部分的な大きなこぶのような突出部分のことをプラークといいます。プラークは、破綻して(破れて)脳梗塞の原因となる事があります。大きなプラークや、見た目が不安定で破れやすそうなプラークの場合、LDLの目標値を非常に厳しくする(100未満、場合によっては70mg/dL未満に)など治療強化が必要な場合があります。治療強化により、プラークが縮む(退縮する)可能性もあります。

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頸動脈エコーを施行した人の方が、将来的な動脈硬化性疾患が少なくなるという報告もあります。これは、自分の血管の状況を客観的に見る事で、生活習慣病の管理に対するモチベーションとなり、定期的な内服や通院につながりやすい事が要因と考えられます。なんとなく、糖尿病やコレステロールの薬を処方され内服している・・・という患者さんは定期的に血管の状況を観察する事で治療意欲にも良い影響があると思われますので、検査をお勧めしています。