diabetesian’s blog

糖尿病専門医、草加市、内科

「なんとなく体がダルい」原因は

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緊急事態宣言が解除された辺りから、「なんとなくダルい」という症状の患者さんが増えてきました。おそらくは、長引く自粛生活によるストレス、運動不足によるものが多いと思われます。ある意味、それぞれの感じ方でもあり、どんな病気でもダルさはでる可能性はありますが、注意すべき内科的な病気について考えてみました。

 

なんとなくダルいということは、身体のどこか一カ所が痛いとか苦しいというよりは漠然とした症状ということになります。

 

1、甲状腺機能低下症

橋本病を背景にもつ事が多く、ゆっくりと進行するためなかなか気付かれにくい病気とも言えます。前頸部の腫れが目立つ場合もあります。採血と甲状腺の超音波検査を行います。

 

2、貧血

貧血もゆっくり進行した場合、体が適応してしまい、中等度以上の貧血でも普通に生活している方が多いです。失血している場合が多く女性では生理や婦人科疾患(子宮筋腫など)、男女問わず消化管出血(胃潰瘍、大腸がん)などの検査が必要になる場合があります。貧血は採血検査でわかります。

 

3、糖尿病の放置

糖尿病は、初期段階では無症状ですが、血糖値が高くなるにつれ倦怠感を感じる方が多くなります。数年放置されると、下肢の神経障害が出現し、足の置き所のないような違和感が出現する方もいます。糖尿病の診断には、採血、検尿を行います。

 

4、高血圧の放置

高血圧も糖尿病と同様に基本的には無症状ですが、放置する期間が長引くに連れ、なんとなく肩こりがする、たちくみがするといったような倦怠感を訴える方が多くなります。高血圧の診断には、診察室血圧、家庭血圧の測定が必要です。

 

5、更年期障害

女性の場合、生理不順が出た辺りから更年期障害の症状を訴える方が増えます。内科でも対症療法として漢方薬を処方する事もあります。婦人科で、女性ホルモンの補充療法を行う方もいます。採血検査では、女性ホルモン、FSHを測定することもあります(女性ホルモン↓、FSH↑となります)。

最近では、女性だけでなく男性の更年期障害も注目されており、男性ホルモン補充療法などを行っている泌尿器科医療機関もあるようです(当院では出来ません)。

 

5、肝機能障害、腎機能障害、心不全など

重要臓器障害による倦怠感はありえます。採血、心エコーなどを行います。

 

6、ポリファーマシー(多剤服用)

特に睡眠薬、安定剤などを複数服用されている方は、減薬によって体調が回復される方もみえます。 

 

7、下垂体前葉機能低下症

副腎疲労などと言われる事もありますが、ACTH単独欠損症などの下垂体ホルモンの低下が、原因不明の体調不良の原因として診断されることがあります。この際の採血検査は、空腹時に30分程度ベッドで安静に臥床してもらった状態で施行することが重要です(ACTH、コルチゾール電解質、血糖値などをチェックします)。確定診断には負荷試験が必要になります。

 

その他、様々な悪性疾患の初期症状の可能性もありますし、あまりにも症状が長引く場合は内科などの受診をお勧めします。

内科的な疾患が否定的であれば、このストレス下におけるメンタル的な要因が可能性として高くなると思われます。ひどい場合は心療内科での御相談をお願い致します。

 

まだまだ大変な時期が続きますが、体調管理にはお気をつけ下さい。