「糖尿病は治りますか?」
糖尿病患者さんから良く聞かれる質問です。
現時点では、「治らない」「むしろ進行します」というのが正確な答えになるかと思います。
それは、糖尿病がそもそもどういう病気なのか、なぜ血糖値が下がりにくいのかを考えるとわかりやすいです。糖尿病は、いずれにせよ「(唯一の血糖降下ホルモンである)インスリンが足りない」病気です。糖尿病発症時点でも、かなりのインスリン不足があると言われており、糖尿病歴が長くなればなるほど、インスリン工場である膵臓のβ細胞に多大な負担がかかり、更にインスリンを分泌する能力は落ちていくことが知られています。(将来的にiPS細胞で膵臓の再生などが可能になれば、「治る」病気になるかもしれません。)
それを端的に表したのが上の図です。糖尿病を発症して年数が経過すればするほど、インスリンを分泌する能力は低下し、血糖値はむしろ上昇していくことが表されています。定期的に病院に通院して処方された薬をきちんと内服してもHbA1cが下がらない・・そのような場合は、食事や運動をさぼっているからでなく、内服薬やインスリン治療など薬物治療の見直しが必要な時期かもしれません。
では糖尿病になったら一巻の終わりでしょうか。決してそうではありません。
糖尿病発症早期から(だから健診などが重要です)、正しい知識のもとに、定期的な検査や治療を行い、上手にコントロールすれば、大きな合併症無く健康に過ごす事も可能な時代となってきました。
糖尿病は体質のようなものですので、その体質にあった生活を実践していく事が重要です。食事や運動などの生活習慣の見直しがまず第一であることは言うまでもありません。