diabetesian’s blog

糖尿病専門医、草加市、内科

新型コロナウイルス遺伝子検査が13分で出来るようになりました。

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当院では、特に発熱外来は行なっていませんが、かかりつけの方などを対象に唾液採取によるPCR検査を業者に依頼しておりました。しかし結果をお伝えするのに1日半程度の時間がかかっており、タイムラグが問題となっていました。

これからワクチン接種が進みcovid-19が収束に向かう事を願っていますが、事態の長期化も想定しなければなりません。

そこで当院ではアボット社のID NOWという迅速検査機器を導入しました。

従来のPCR検査では数時間以上の検査時間がかかり当日の結果伝達が難しかった理由となっていましたが、この機器ではなんと13分という短時間で結果が判明します。

「等温拡散増幅法」を用いているためですが、PCR法と陽性一致率93.3%、陰性一致率98.4%とほぼ同等の精度となっています。厚生労働省認証済みです。

 

発熱などの症状のある方は、保険診療が可能です。

無症状の方は自費となります。(自費料金:9500円 診断書、税込)

陰性証明などにもご利用ください。

 

尚、発熱などのある方は、時間的、空間的な隔離をさせて頂きますので、直接来院せず、必ず電話でのお問い合わせを宜しくお願い致します。

 

令和3年度 特定健診・大腸がん検診について

令和3年度 特定健診、大腸がん検診(便潜血反応検査)が始まりました。

 

期間は、令和3年6月1日(火曜日)から令和3年12月17日(金曜日)までです。

 

特定健診については、期間内に受診すると、通常約1万2000円の自己負担額が無料で受診出来ます。大腸がん検診は500円となります(無料対象者あり)。

 

コロナワクチン接種(第1回目)の感想

医療従事者向けの第1回目の接種を受けてきた感想を述べたいと思います。

多くの方がなかなかワクチンを受けられない現状で先に打たせて頂くのは心苦しい面もありますが、多少の参考になるかと思いましたので記させて頂きます。ちなみに当初は3月に受ける予定でしたが、草加市への供給が遅れたようで予定より1ヶ月遅れての接種となりました。

 

接種の手順:まず予診票を提出、本人確認のためか氏名、住所の記入を再度行ない提出、次に写真入りの身分証明書を提出(運転免許証にしました)、医師の問診、注射、待機場所で15分程度待ち、最後に1回目の接種の証明となる印鑑をもらい終了でした。この用紙は2回目の接種時に持参が必要となります。

 

所要時間:30分弱程度でした。

 

注射の痛み:ほぼ全く痛みが無いといっても過言ではありませんでした。他のスタッフも口を揃えて同様の感想でした。コロナワクチンの液量が少ない事も影響しているようです。

 

注射後の副反応:打った直後は全くなにもなく拍子抜けといったところでしたが、数時間後から接種部位を中心に鈍痛があり、寝るときは注射部位を下にすると痛みがありました。注射した左腕を挙上する際に、不自由を感じる程度の痛みが続きます。全身の発熱などはなく、明らかな倦怠感なども感じませんでした。

 

2回目の方が、発熱などの副反応強く出るようですので、1回目は比較的問題ない方が多いようです。

GW明けから本格的に市の集団接種が始まりますので、順調にワクチンが供給され混乱なく進んでいくといいなと思います。

 

草加市休日当番医についての感想

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3月21日日曜日は草加市の内科系の休日当番でした。

 

休日当番医を受診される患者さんは、コロナ前と比べて大幅に減っています。

コロナ前は、季節によりますが50人からインフルエンザ流行期では100人くらい受診することもありました。

今回受診された患者さんは30人未満で、以前の半分くらいの印象です。

小児の受診者が多いのは相変わらずですが、学校でもマスクをして登下校し、給食も静かに食べているようですので、小中学生などは数える程で未就学のお子さんの発熱がメインでした。1歳くらいの初めて発熱が多かったので、突発性発疹だったかなと思われます。

その他、帯状疱疹の方や花粉症、一般的な発熱の方が数名受診された程度でした。相変わらずインフルエンザ患者はいませんでした。今年は、インフルエンザ患者を一人も見ませんでした。検査自体も少ないのでなんとも言えませんが、ほぼ流行がなかったものと思われます。こんなことは医者になってから初めてのことです。

 

コロナ流行前後で休日当番医の状況も大きく変化しており、いかに大きな出来事であるかがこういったことからも感じられた一日でした。

初の経口GLP-1 受容体作動薬のリベルサスについて

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注射薬であるGLP-1受容体作動薬は、減量効果やHbA1cなどの血糖降下作用も強く低血糖リスクも少ない非常に優れた糖尿病薬です。

1日1回タイプのビクトーザ、週1回製剤のトルリシティが多く使用されています。

 

しかし注射製剤ということが、患者さんによっては導入を躊躇する原因ともなっていました。

リベルサスは、初の内服薬のGLP-1受容体作動薬であり、注射に抵抗感の強い方に新たな選択肢となると考えられます。

ただし、内服方法で注意点があります。

・空腹時(1日の最初の飲食の前)に服用

・1錠をコップ半分の水とともに服用

・服用後30分間は飲食しない

 

リベルサスの効果としては

2型糖尿病患者さんを対象としたランダム化比較試験では

・26〜52週でHbA1c 1.2〜1.4%程度低下

・体重は14mgの高用量で3〜4kgの体重減少

という非常に強力な効果を認めました。

副作用としては、胃腸障害がありますが、徐々に用量を増やす事でそれほど多くはなさそうです。

 

現在、発売して1年経過しておらず、希望される方は2021年11月末日までは2週間処方となります。

2週間処方の間は、様子見になる事が想定されますが、非常に期待される糖尿病薬であることは間違いなさそうです。

 

ゾルトファイとソリクアについての雑感

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画期的とも言える 持効型インスリン+GLP-1受容体作動薬の合剤である2剤についての雑感です。

 

ゾルトファイ:持効型インスリンであるトレシーバとGLP-1受容体作動薬であるビクトーザの合剤です。インスリンのしっかりとした血糖降下作用と、ビクトーザの体重増加抑制効果(高用量では減量効果があります)、グルカゴン抑制など多様な効果が1日1回の注射で期待出来ます。

当院では、持効型インスリンとしてトレシーバを使用している方が比較的多いため、インスリン治療の強化、もしくは、混合型インスリン2回打ちからゾルトファイ1回打ちへ変更する方で切り替える方が多い印象です。

空腹時、食後血糖値をバランス良く下げる効果があると実感していますが、GLP-1の配合比率が低めであるため体重が減るというわけではありません(どちらかというとインスリンの体重増加作用を相殺してくれるイメージです)。その分、GLP-1受容体作動薬の代表的な副作用である消化器症状(嘔気、下痢など)は比較的少なめです。副作用で中断された方は70代以上の方で2名程いました。ご高齢の方では、少なめの容量で開始した方がいいのは間違いないようです。

 

ソリクア:ゾルトファイと同様に持効型インスリンであるグラルギンとGLP-1受容体作動薬であるリキスミアの合剤です。

こちらは、朝食前に1回1回の注射タイプです。グラルギンを使用している患者さんが

比較的少ないため当院での処方も少ない状態です。

ゾルトファイと比較してどう違うのでしょうか。ソリクアの最大投与量が20ドーズのため(ゾルトファイは50ドーズ)インスリン必要量が少なめな方が対象になります。またソクリアに含まれるGLP1受容体作動薬のリキスミアは食後血糖、特に朝食後の血糖上昇を抑える力が強いため、朝食後の高血糖が目立つ方にはかなりの効果が期待出来ます。

 

ゾルトファイ、ソリクアともに1日1回注射で、1粒で2つおいしいといった非常に期待される注射薬ですので、それぞれの患者さんのタイプを見極めて使い分けていくことになると思われます。