diabetesian’s blog

糖尿病専門医、草加市、内科

学会もオールweb開催(糖尿病学の進歩)

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この度、第54回糖尿病学の進歩が、全てweb開催となりました。本来今年3月に石川県金沢市での開催予定だったのですが、9月に延期され、最終的に現地開催を断念し全てをwebに切り替える事となりました。

 

当然残念な面も多々あるのですが、実はこれが想像以上に良いです!

全ての演題、講演が動画で配信され、2日間のlive配信の他、後で何度でも聴講出来るon demand配信が9月14日〜23日とじっくりなため、今までなら聴講が難しかったものも見逃す事なく勉強出来ます。自分は視力が悪いため(メガネ変えたので最近はマシですが)会場の後方ですとスライドが見えにくい事もありますが、その心配もありません。

 

現地の美味しい食事や奇麗なホテルに宿泊するといった楽しみ(?)はなくなりますが、純粋に講演を聴くためだけならこちらの方が格段に優れていると実感しました。

日進月歩の糖尿病学の進歩を患者さんの利益とできるようにしたいと思っています。

 

コロナ禍が落ち着いた後には、現地開催+web開催といったハイブリッドになっていくことを期待しています。

 

 

10月からゾルトファイの処方制限解除

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インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合注射剤であるゾルトファイが2020年10月から処方制限解除となります(日数制限無く普通に処方可能となります)。

ゾルトファイは、持効型インスリンであるインスリンデグルデク(商品名トレシーバ)とGLP−1受容体作動薬のリラグルチド(商品名ビクトーザ)の配合注射剤です。

国内の臨床試験ににおいては、インスリン単独、GLP-1RA単独に比較して優位にHbA1c低下効果が現れ、低血糖などの増加も見られていません。

 

まさしく、インスリン治療の確実な血糖降下作用とGLP-1RAの体重減少(増加抑制)、グルカゴン抑制、その他心血管、腎臓などへの効果など(評価はこれから)など、いいとこ取りの薬剤である可能性があります。

 

メリットとして、確実なHbA1c低下効果、1日1回というシンプルさ、体重増加を来しにくい・・・・、逆にデメリットとしては、比較的高額であること(内服薬を減らせれば必ずしもそうとも限らない?)、やはり注射薬であるという心理的、物理的なハードル・・・・が挙げられます。

 

今後、この薬剤によってメリットが大きいと考えられる方としては

 

インスリンを複数回注射しているが、打ち忘れが多く、体重増加傾向、HbA1cもいまいち・・・といった方

 

②複数の内服薬を使用しているが血糖コントロールがつかない方

 

③いわゆるBOT(持効型インスリンと内服の併用療法)を行っているが、血糖コントロールがつかない方

 

④GLP-1RAの治療で血糖コントロールがつかない方

 

⑤糖尿病の発症時、高血糖で受診される方(HbA1c 10%以上、血糖値200以上・・・)の初期治療

 

挙げればいくらでも出てきますが、複数の内服薬、インスリン製剤を使用している方が治療をシンプルにし、それにも関わらず血糖値が改善する可能性があると考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Free Styleリブレproのご紹介

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FreeStyle リブレpro (画像はアボット社HP より)

 

f:id:diabetesian:20170427133214j:plainFreeStyleリブレ(主に1型糖尿病患者で月1回通院中の患者さんが使用中)

 インスリンやGLP-1受容体阻害薬(トルリシティやビクトーザ)などの注射薬を使用している患者さんは、1日1、2回の指先穿刺の自己血糖測定(SMBG)を行っていますが、あくまでも24時間変動している血糖値のワンポイントに過ぎません。

 

そこで、このフリースタイルリブレproは、上腕に500円玉大のセンサーを貼付け、15分毎に間質液中のブドウ糖濃度を最大14日間に渡って測定し(最大2週間で1340回)、下のようなグラフとして表してくれます。お風呂にも入れますし、装着、取り外しはスタッフが行います。夜間の低血糖などブラックボックスとなっていた部分まで見えるようになるため、より安全かつ良好な血糖コントロールを目標にできます。

FreeStyleリブレと違い、リアルタイムで血糖値は分かりませんが、2週間後にまとめて結果が分かるタイプです。

半年〜1年に1回程度、血糖変動をチェックする目的にも使用出来ます。

 

 

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このFreeStyle リブレproですが、施設基準がありクリニックで導入している施設は少ない状態です(インスリンポンプ患者さんが通院中である必要があります)。

インスリン治療中、もしくは血糖コントロールの不良の方は保険適応となっております糖尿病の方に保険適応となっており、3割負担の方で約4000円となっています。

 

実際にこれまで多くの患者さんにおいて使用しておりますが、夜間の低血糖傾向、食後高血糖の傾向が多く、内服薬やインスリンの調整で血糖コントロールが改善している方がほとんどです。

 

リブレproご希望の方は、スタッフもしくは医師にまでお声がけ下さい(混雑時にはすぐに対応出来ない場合もあります)。

 

 

 

血糖値が良くならない時に考えるべきこと

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糖尿病患者さんが良好な血糖コントロールを保つのはそれほど簡単なことではありません。糖尿病の外来を受診して血糖コントロールが悪化すると、主治医から「食事や運動をもっと気をつけなさい」と言われる患者さんが多いと思います。

もちろん、ストレスで食事が乱れたり冬場は寒さの影響もあって運動不足に陥ることが多いのは確かです。適切な食事療法、運動療法というのは糖尿病治療の根幹ですし、それはどんなに医学が発展しても変わらない事だと思います。

しかし、血糖値が悪化する原因として、食事と運動以外に考えなくてはならないことが何点もあり、医師としてはそれを見逃してはならないと思っています。

 

糖尿病は、年々血糖コントロールが難しくなっていく病気
⇒糖尿病発症時点で、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能は、糖尿病でない人の約半分になっているというデータがあります。要するに、「ちょっと糖が高い」とか「境界型」と言われている方でも、血糖値を下げる能力は高度に低下している事になります。そして、糖尿病を発症すると常に血糖値が高い状態になり膵臓は働き尽くめになります。年々膵臓は疲れ果て、果てはインスリンの泉は枯れていく事になります。

ですから、今通用してる糖尿病の薬も数年後には不十分となる事が当たり前の話なのです。

 

患者さんにあった薬や治療法が選択されていない
⇒明らかにメタボで過体重の患者さんに、栄養指導なども行わず更に肥満を招くようなSU薬と言われるような薬のみで治療したとしたら、より糖尿病を悪化させるといっても過言ではありません。

逆に痩せ型でインスリン分泌が悪いこと(生活習慣に大きな問題はなく、遺伝的、体質的な問題が大きいです)が原因の患者さんに、「もっと食事を制限しろ、もっと運動しろ」といったら栄養失調になり健康を損ねる事は明らかです。

血糖値が高いといってもその原因は様々です。個々の患者さんに合った治療が選択されていない場合、「糖尿病治療」がむしろ糖尿病を悪化させることすらありえます。

現在、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬のような減量効果を期待出来る薬剤が全盛ですが、比較的コストが高くなりますので、患者さん個々の希望や状況に合わせた薬物治療が必要です。

 

インスリンの調整が適切になされていない
インスリン注射をしている患者さんで、ずっと同じ単位の注射を何年もしている患者さんをみかけます。また、自己血糖測定をしているにも関わらず、ほとんど主治医に見せる事もなく、血糖値が高い事を確認するだけになっているケースもよく見かけます。

自己血糖測定をする大きな目的が、ある時点での血糖値がいつも高い場合、そこに効いているインスリンの量を調整して血糖値を改善していく事です。

「責任インスリン」ともいいます。例えば、超速効型インスリンは、食後1〜2時間の血糖値の責任インスリンです。持効型インスリンは、空腹時血糖値の責任インスリンです。

食後1〜2時間の血糖値がいつも200以上など高い場合は、食直前に打っている超速効型インスリンを増量しましょう。

朝(空腹時)の血糖値がいつも高い場合は、1日1回打っている持効型インスリンを増量しましょう。

もちろん、インスリンの調整も例外は多々ありますが(ソモジーなど)、まずは責任インスリンの原則で地道に調整していけば、ほとんどの患者さんで目標の血糖コントロールに近づけることが可能となります。

 

他の病気を併発している
⇒最も怖いケースですが、たとえば悪性疾患(がん)を発症したことで血糖値が悪化していることがあります。特に糖尿病では膵臓がん、肝臓がん、大腸がんの発症率が増える事が知られています。血糖値が急に悪化した場合、これらの病気が隠れていないか速やかに調べる事が必要です。

 

血糖値に影響する薬を飲んでいる
⇒他科で処方されている薬で血糖値が悪化していることが良くあります。

代表的なのがステロイド剤、抗精神病薬です。患者さんが他科を受診している場合、服薬内容を必ず確認する必要があります。

 

 

甲状腺が腫れていると言われたら

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健診や人間ドックで、甲状腺の腫れを指摘される方がいらっしゃると思います。

 

その際、どういったことを心配すればいいのかおおまかにお伝えします。

 

 

① まず本当に腫れているのか、腫れているのは甲状腺なのか確かめてみましょう。触診で甲状腺が本当に腫れているかどうか判断するのは、熟練した医師でも難しい場合があります。実際は腫れていない場合もよくあります。甲状腺の超音波検査を施行すれば、確実にわかりますので一度は実施しましょう。痛みもなく簡単な検査ですのでご安心ください。

 

② 甲状腺が腫れていると判明した場合、大まかにわけて2つのことを考える場合があります。

  A .  甲状腺が全体的に腫れている

  B .  甲状腺に出来物(腫瘍、嚢胞、過形成など)が出来ている

 

Aの場合、代表的な病気としては、橋本病、バセドウ病などが挙げられます。これらの病気の場合、甲状腺の働きに異常を伴う事がありますので、採血検査で甲状腺ホルモンを確認する必要があります。また両疾患ともに、自分の甲状腺に対する自己抗体が出来てしまう病気ですのでこれも採血でチェックする方が望ましいです。

大体1週間で採血結果がでます。

 

Bの場合、代表的には甲状腺癌、腺腫瘍甲状腺腫などが考えられます。サイズが大きく、形がいびつで砂粒のような石灰化を伴うようなものであれば甲状腺癌の可能性がありますので、穿刺吸引細胞診という検査が必要になる場合があります。

腺腫様甲状腺腫など良性と思われる場合は3ヶ月〜1年に1回程度超音波検査でサイズの変化を経過観察していく事になります。

 

 

甲状腺が腫れているかもしれない、と指摘された方はお気軽に受診してください。基本的には採血検査と超音波検査を行う事で大抵の甲状腺疾患の診断が可能です。

穿刺吸引細胞診や手術、アイソトープ検査(テクネシウムシンチ)などの精査が必要になる場合は、高次医療機関と連携をとっておりますのでご安心ください。

FreeStyleリブレが2型糖尿病患者でも使いやすくなりました

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2020年4月の診療報酬改定で、下記の点数が親設されました。

 間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの 1250点(新設)

 

対象は、2型糖尿病患者で強化インスリン療法施行中、もしくは強化インスリン療法施行後に混合型インスリン製剤を1日2回以上行っている方です。

 

強化インスリン療法とは、基本的にはインスリン4回(もしくは5回)打ちの事です。

超速効型インスリンを食前に3回、持効型インスリン1回以上打つ方法の事です。

また混合型インスリン製剤とは2種類のインスリンがある比率で混和(主に超速効型と持効型、もしくは中間型)された製剤のことです。

 

したがって、インスリン注射が1回/日、もしくは内服の糖尿病薬で治療中の方は適応になりませんので、ご注意をお願いします。