diabetesian’s blog

糖尿病専門医、草加市、内科

コロナ禍での糖尿病の治療中断、放置に気をつけましょう

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上の表は、平成24年のものですが、日本の糖尿病患者さんの治療の状況をまとめたものです。

現在、日本の糖尿病患者は約1000万人、その中で医療機関にかかっている患者は約620万人と推計されています。

問題は未治療の患者が330万人もいて、年間51万人も治療を自己中断していることです。


さらに、ここ2年以上続くコロナ禍において、糖尿病の治療中断されている方が、非常に多くなっていると推測します。


実際、都内の医療機関に通っていたがテレワークの推進や、電車に乗って通院することへの抵抗感から1年以上も治療中断された方が当院を受診されることがあります。

糖尿病は自覚症状に乏しいですが、放置しておくと合併症が進行し、網膜症による失明、腎症による人工透析、神経障害による下肢切断など重篤な事態を招きかねません。定期通院が最も大事と言われる理由です

では、なぜ糖尿病を放置したり、治療を中断してしまう患者さんが多いでしょうか。以下に、調査した報告結果があります。

 

治療中断の理由(J-DOIT2より)

1、仕事(学業)が忙しい(24.6%)

2、医療費が高い(15.8%)

3、体調が良い(10.5%)

4、今通院しなくて大丈夫と思う(7.0%)

 

患者さんが通院を中断したり、放置するには、それなりに理由があるわけです。

 現時点においては、これにコロナ禍の要因が確実に加わっています。

当院では、糖尿病治療の正しい知識や必要性を丁寧にお伝えするとともに、患者さんのニーズに合わせて待ち時間対策や治療法の選択を行っています。

しばらく通院されていない方は、早期の受診を推奨致します。紹介状などあればより良いですが、なくても受診は可能ですので、ご心配されなくても大丈夫です。

 

 

2022年4月からの診療時間変更のお知らせ

2022年4月から診療時間を以下のように変更します。


月、火、木、金の午前

8:45〜12:15(現在は9:00〜12:30)

月、火、金の午後

14:00〜17:00(現在は14:30〜18:00)

木の午後

14:45〜18:30(現在は14:30〜18:30)

土 

8:30〜13:00(現在と変わらず)


最終受付は、診療時間の10分前までとなります。


夕方での受診でご迷惑をおかけする可能性がありますが、その分質の高い診療を心がけて参りますので、何卒ご了承の程よろしくお願い致します。





オゼンピック皮下注使用中の患者様へ

週1回タイプの持続性GLP-1受容体作動薬である「オゼンピック皮下注 0.25mg SD 0.5mg SD 1.0mg SD」が、製造会社による製造と輸出一時停止のため、ノボノルディスクファーマ株式会社から出荷調整および出荷停止が発生するとの報告がありました。


当院でも、オゼンピックを使用中の患者様が多く、受診時に対応策をご相談させていただいております。


このことに際して、日本糖尿病学会から以下の提言がありました。


1、現在出荷されているオゼンピック皮下注SDの品質および安全性については懸念がないとのノボ社の見解です。

2、安定供給が確保されるまでの間、オゼンピックを新規に処方しないでください。欠品を見越した大量処方は決してしないでください。

3、欠品となった場合には、患者の希望や生活様式を考慮して、代替薬(トルリシティ皮下注アテオス等)への切り替えを行なってください。

4、代替薬投与にあたっては、血糖自己測定または血液検査等で適宜モニターし、急激な血糖コントロール悪化に注意してください。

5、美容、痩身、ダイエット等を目的とした適応外使用は決してしないでください。



現実的な対応としては、同じ週1回タイプのGLP-1受容体作動薬であるトルリシティへの変更、もしくはオゼンピックと同成分である内服薬であるリベルサスへの変更が考えられます。


様々な事情があるようですが、多くの患者さんが使用している医薬品が唐突に欠品になる事態は避けてほしいと思います。



甲状腺疾患を心配される方へ

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当院では、糖尿病だけでなく健診などで甲状腺が腫れていると指摘され受診される方も多くなっています。

 

最近、都内においては「甲状腺専門クリニック」も多く開業されているようで、また甲状腺専門の有名病院もあります。そういった本当の意味での専門医療機関にかかるべきか否か心配されている方も多いようです。

 

当院の果たすべき役割、出来る事は何か考えてみます。

 

甲状腺疾患のスクリーニング検査(最初に行う検査の事で、採血、超音波検査になります)は、クリニックで行っても大学病院で行っても基本的には項目は同一になります。

 

大事なのはその結果の解釈になると思います。

 

当院では、なるべく患者さんの不安を解消出来るように丁寧な病気の説明を心がけています。

 

また、絶対数は少ないですが更なる精密検査(穿刺吸引細胞診、手術、アイソトープ検査・治療など)が必要と判断した方は、高次医療機関へ適切かつ速やかな紹介を出来るように気をつけています。

甲状腺でそれほどの重症の病気は珍しいのですが、大きな出来物に関しては、悪性の可能性が低くても一度は穿刺吸引細胞診を受けて頂くようお話しています。

 

甲状腺疾患が心配な方は、一度御相談頂ければと思います。