diabetesian’s blog

糖尿病専門医、草加市、内科

ゾルトファイとソリクアについての雑感

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画期的とも言える 持効型インスリン+GLP-1受容体作動薬の合剤である2剤についての雑感です。

 

ゾルトファイ:持効型インスリンであるトレシーバとGLP-1受容体作動薬であるビクトーザの合剤です。インスリンのしっかりとした血糖降下作用と、ビクトーザの体重増加抑制効果(高用量では減量効果があります)、グルカゴン抑制など多様な効果が1日1回の注射で期待出来ます。

当院では、持効型インスリンとしてトレシーバを使用している方が比較的多いため、インスリン治療の強化、もしくは、混合型インスリン2回打ちからゾルトファイ1回打ちへ変更する方で切り替える方が多い印象です。

空腹時、食後血糖値をバランス良く下げる効果があると実感していますが、GLP-1の配合比率が低めであるため体重が減るというわけではありません(どちらかというとインスリンの体重増加作用を相殺してくれるイメージです)。その分、GLP-1受容体作動薬の代表的な副作用である消化器症状(嘔気、下痢など)は比較的少なめです。副作用で中断された方は70代以上の方で2名程いました。ご高齢の方では、少なめの容量で開始した方がいいのは間違いないようです。

 

ソリクア:ゾルトファイと同様に持効型インスリンであるグラルギンとGLP-1受容体作動薬であるリキスミアの合剤です。

こちらは、朝食前に1回1回の注射タイプです。グラルギンを使用している患者さんが

比較的少ないため当院での処方も少ない状態です。

ゾルトファイと比較してどう違うのでしょうか。ソリクアの最大投与量が20ドーズのため(ゾルトファイは50ドーズ)インスリン必要量が少なめな方が対象になります。またソクリアに含まれるGLP1受容体作動薬のリキスミアは食後血糖、特に朝食後の血糖上昇を抑える力が強いため、朝食後の高血糖が目立つ方にはかなりの効果が期待出来ます。

 

ゾルトファイ、ソリクアともに1日1回注射で、1粒で2つおいしいといった非常に期待される注射薬ですので、それぞれの患者さんのタイプを見極めて使い分けていくことになると思われます。