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diabetesian’s blog

糖尿病専門医、草加市、内科

1型糖尿病の「ハネムーン期」とは?

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1型糖尿病では、発症早期にインスリン分泌が枯渇してインスリン依存状態(インスリン注射をしないと生きられない状態)に陥ることが多いです。

ところで、1型糖尿病に「ハネムーン期(ピリオド)」と言われる期間があることをご存知でしょうか。急性に発症した1型糖尿病患者さんは、極端な高血糖ケトアシドーシスに陥り、多くの場合緊急入院になります。そして、入院中頻回なインスリン注射と血糖測定を行い、状態が安定すれば外来通院となるわけです。

ところが外来通院を始めてしばらくした頃、むしろ低血糖傾向となりインスリンを減量したり、場合によってはインスリン注射を中断する必要性が出てくる場合があり、この期間のことを通称ハネムーン期と呼んでいます。

入院中、1型糖尿病は一生インスリン注射が必要で、体調の悪い日(シックデイ)でも絶対にインスリン注射はやめてはだめ(シックデイルール)と教え込まれたのに・・・・と納得のいかない顔をした患者さんも診てきました。

このハネムーン期と言われる期間は、1型糖尿病患者さんが適切なインスリン注射による初期治療を受けた場合、残存していた膵臓(β細胞)の機能が回復し、”一時的”に自己インスリン分泌能力が回復する事によると考えられています。しかし、この残存した膵β細胞もやがて破壊を受け、インスリン分泌は進行性に低下していきます。

よって、一時的にインスリンの必要量が減ったり、中止出来たりしてとしても、最終的にはインスリン分泌能は枯渇し、再度しっかりとしたインスリンの補充が必要となる事がほとんどです。このことを念頭に医療者も患者さんもハネムーン期に向き合う必要があります。

また、2型糖尿病においても、しっかりとした初期治療受けた後、いわゆる「糖毒性が解除」され必要なインスリンや内服薬が減ることが多いです。よく糖尿病の医師が言う「糖毒性が解除された」というのも、広い意味ではハネムーン期という事が出来るのかもしれません。

初めにこの「ハネムーン期」という呼び方を知った時、糖尿病に似つかわしくないけど、どこか心に残るネーミングだなと引っ掛かった思い出があります。本日、外来でハネムーン期と思われる患者さんとお会いしたため、筆(?)をとった次第です。