読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

diabetesian’s blog

糖尿病専門医、草加市、内科

糖尿病はオーダーメイド治療の時代に

f:id:diabetesian:20161119194204j:plain

例えば、スーツを買うとした時に、洋服の◯◯、A◯◯Iといった大手チェーンで買う場合と、個々人の細かい体系に合わせたオーダーメイドの洋服をオーダーする場合とがあると思います。

大手チェーンで買うスーツは、レディメイドといって多くの方の体型にある程度フィットするように作られ、大量生産により価格も抑えられ非常に現代的なものだと思います。

反対に、オーダーメイド(オーダーメイドは和製英語で、本当はテーラーメイドと言います)では、個々人の細かい体型も考慮し、まさしくジャストフィットするスーツが可能となります。

 

私が糖尿病治療において最も大事だと思う点は、それぞれの方の体型(痩せ型、肥満)、糖尿病の罹病歴(初期から進行期か)、合併症の有無、ライフスタイル、性格まで考慮に入れ、本当の意味でその患者さんにふさわしい治療を模索していく事だと思います。模索する過程においては、医者側の独断では意味がありません。いくら理想と思う治療を患者さんへ押し付けたところで、実践出来ない治療法であれば絵に描いた餅になってしまうわけですから。

  

現在、糖尿病の経口血糖降下薬が7種類(下図)、注射剤としてインスリン、GLP-1作動薬がありますので、おおよそ9種類の中の薬剤から治療法を選択することになります。ちなみにインスリン製剤といっても、超速効型、速効型、持効型、中間型、混合型・・・・と様々な効き目の種類がありますので、実際はより多くの選択肢があるわけです。

特に2009年からDPP4阻害薬が上市されてからは、まさしく糖尿病治療は劇的に進歩したといっても過言ではありません。血糖コントロールが以前より容易になったのは事実でしょう。

また2年前に発売されたSGLT2阻害薬は、「痩せ薬」として大きな注目を集めました。飲めば簡単に痩せるような夢の薬ではありませんが、適切な食事、運動を行い正しい指導の元内服すれば、体重減少に働くのは事実です。60人程の患者さんに内服して頂きましたが、適切な情報提供が出来れば、大きな副作用は少なく、充分に体重減少、血糖改善に役立つ薬であることを実感しています。

 

f:id:diabetesian:20161119192408p:plain

 

専門医として糖尿病外来を担当していますが、初診の患者さんからはなるべく多くの情報をお聞きするようにしています。

具体的にいうと、糖尿病と言われたきっかけ(健診なのか、口渇などの症状があって受診したのか)、「ちょっと糖が高いね」と言われ始めた時期、ご家族に糖尿病の人がいるか、糖尿病以外の病気をもっているか、他院から処方されている内服薬の有無、人生最大体重とその時期、ご職業、運動習慣、食事パターン(朝食をとっているか、おやつは食べているか)、運動習慣の有無・・・・・・・・・。

患者さんにとってみれば何故こんなことまで聞かれるのだろうと思うかもしれませんが、全ての情報がその方の治療方針を模索していくために有用です。

これらの情報を元に、その人にふさわしい治療薬の選択、食事療法、運動療法の提案を行うわけです。

 

SGLT2阻害薬やGLP-1製剤、高用量のビグアナイド薬など、体重減少の方向に作用する薬が出てきた事で、こういった”オーダーメイド”な治療が可能な時代となっており、糖尿病患者さんにとっては幸せな時代となったと同時に、糖尿病専門医にとしては責任の重さを実感しております。

今後も、長いスパンにおいて最良の糖尿病治療を提供出来るよう、日々研鑽していきたいと思っています。